汗がでる仕組み!エクリン腺とアポクリン腺とは?
今回は汗がでる基本的な仕組みについて書いてみたいと思います。
汗は皮膚にある汗腺から発生するということは知っている方は多いと思いますが、汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺という2種類があります。
この2つの汗腺について紹介します。
エクリン腺とは?
エクリン腺は人間のほぼ全身の体表面に存在している汗腺です。人がかく汗の大半はこのエクリン腺から発生しているものです。エクリン腺からの汗の特徴は、成分の90%以上が水分でサラサラしていてほぼ無臭です。
手掌多汗症で発生する汗は、このエクリン腺から発生するものです。
エクリン腺から汗が発生する理由は大別すると3種類あります。
<温熱性発汗>
運動などをしたり、気温の影響により体の体温が上がった時に、体温を調節する目的ででる汗です。
<精神性発汗>
大勢の人の前で話をしたり、テスト前に緊張したりするなど精神的に緊張したときに交感神経が活発になり汗が出ます。いわゆる冷や汗といったものもこの発汗に該当します。
<味覚性発汗>
唐辛子など辛い食べ物を食べた時に発汗神経が刺激を受けて出る汗です。
アポクリン腺とは?
アポクリン腺は全身にある汗腺ではなく、脇の下など体の一部のみに存在する汗腺です。
特徴としては、成分が水分70%〜80%と少なめで、その他に、タンパク質、脂肪、尿素、アンモニアなどが混ざっているため、ネバネバしていて臭いがあります。
多汗症の悩みで多いワキガの汗はこのアポクリン腺が関係しています。
汗と臭いについて
エクリン腺もアポクリン腺も汗が汗腺の中にある状態の時には無臭です。
エクリン腺はほとんどが水分ですが、皮膚の表面に出てきた際に皮脂やフケなどの汚れと混じり合うと、そこに細菌が増殖します。この細菌は「皮膚常在菌」という皮膚に住む菌です。この菌により臭いが発生することになります。
アポクリン腺も同様に皮膚常在菌が繁殖することが臭いの原因になります。
しかしながら、アポクリン腺はもともと臭いを発する汗なので、より強い臭いを発生しワキガなどの病気として扱われます。
胸や背中から多量の汗が出るのは代償性発汗?対策は?
今回は多汗症手術後の代償性発汗についてお話しします。
多汗症とは交感神経が過剰に作用することにより、手、わき、足裏から過剰な汗がでる病気です。字を書くと紙が濡れる、他人と手をつなげないなど、精神的な苦痛は幼少時から続きます。これらの患者様に交感神経と汗腺のつながりを断ち切る交感神経遮断術という手術を行うことで、手のひらからの過剰な発汗は消失し、大変に喜んでいただけます。しかしながら、副作用と言える症状があります。それが代償性発汗です。現代の医学では代償性発汗を確実にゼロにすることはできないと言われています。
ではどういった副作用なのでしょうか?
背中や胸などの発汗量が増加します。
多汗症の手術に伴う代償性発汗は、背中、胸、ふとももなど体幹部の汗が増加する現象です。これは、手のひらから出なくなった汗の量が、代わりに背中や胸から出るようになるというものではありません。すなわち手汗の量と代償性発汗の量には相関関係はありません。
交感神経遮断術を行うと、フィードバック作用により脳の体温調整中枢を介して体幹部からの発汗が促進されるため、夏の暑い時や運動時などに背中や胸からこれまで以上に汗が出るようなります。代償性発汗の部位や発汗量には個人差があります。そのため女性のブラウスやズボンがびっしょり濡れてしまうような過剰な代償性発汗で手術を後悔することさえあります。
交感神経遮断の部位に影響する。
代償性発汗の程度は交感神経遮断の部位に左右されます。
顔や頭の発汗を止めるために高位の第2交感神経を遮断するとほぼ100%の確率で大量の汗が胸や背中から出ることになり、これまでの報告では約10%の割合で手術を後悔していました。したがって現在ではほとんどの医療機関で第2交感神経を遮断する手術は行われていません。第3交感神経遮断でも約5%の割合で手術を後悔する結果となり、当院では原則として第3交感神経を遮断する手術も行っておりません。
当院で行なっている手術は、代償性発汗をできるだけ少なくするように、手汗が止まるできるだけ低い位置、低位の第4交感神経を遮断する方法です。
過剰な代償性発汗を実感されているのは約2%の患者様
当院ではこれまでに4000例以上の手掌多汗症患者様に低位の第4交感神経遮断手術を日帰り手術で行っています。代償性発汗を最小限するように努め、約98%の患者様は長年悩んでいた手汗が改善され、生活の質も向上し、手術を受けて良かったと大変に満足されています。しかしながら第4交感神経遮断でも多かれ少なかれ代償性発汗は必ず出現します。残念ながら約2%の患者様は、想像していた以上に胸や背中からの汗が増えたと感じられています。
まずは代償性発汗について十分に説明を行いますので、それを踏まえて手術を行うかどうかは患者様ご自身で慎重に検討していただきたいと思います。
ご不明な点はご遠慮なく当院にご相談ください。
手汗・多汗症の自己チェック方法!検査方法や重症度の判定は?
今回は手汗・多汗症かどうかをチェックする方法をご紹介したいと思います。
小さい頃から悩んでいた方やご自分では当たり前と思っていたことが周りの方の反応で気付くなど症状を自覚するケースは様々ですが、症状の程度には段階があります。
これを把握していただいてご自身の状態をチェックしていただければと思います。
重症度を判定するHDSS
手汗・多汗症の重症度を自分でチェックする方法にHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)というものがあります。
これは自覚症状のレベルに応じて重症度を判定する指標です。
(1)発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
(2)発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
(3)発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
(4)発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
3および4は重症多汗症と判定されます。
また、重症度を判定する指標で以下も参考になります。
レベル3になるほど重症と考えられます。
レベル1
軽く湿っている程度で見た目にはわかりにくく、触ると汗ばんでいることがわかる状態。水滴ができるほどではないですが汗で肌がテカっているように見えます。
レベル2
水滴ができているのが見た目にもハッキリとわかる。濡れている状態ですが汗が流れ落ちるまではいかない状態。
レベル3
水滴ができ、汗がしたたり落ちる。
このように自分でチェックする方法がありますが、これらはあくまで客観的に判断する指標であって、仮に重症度が軽くてもご自身が嫌な思いをしていたり気になったりしているのであれば、重症度に関わらず検査・治療を受けられることをおすすめします。
その他の検査方法
検査方法には他に汗滴プリント法や重量計測法、換気カプセル法などというものもあります。
・汗滴プリント法
ヨード(ヨウ素)を吸収させた紙に発汗部位を触れさせると、汗によって紙が黒色に変色するという検査方法です。変色の仕方によって重症度を判定します。
・重量計測法
ろ紙のついたビニール袋を指定の時間つけて汗の量を測る方法です。
・換気カプセル法
発汗している部位をカプセルで覆い、ガスを送風することで汗を蒸発させ、その湿度で多汗症の程度を調べる方法です。
総ビリルビンとは?胆石との関係!成人や乳児の基準値は?
毎年、職場で健康診断や人間ドックを受診されている方が多いと思いますが、その検査結果の中で「総ビリルビン」という項目があります。これは何かご存知でしょうか?
この総ビリルビンは肝臓や胆石と関係のあるものですので、今回はこれについて記載したいと思います。
総ビリルビンとは?
ビリルビンとは、古くなった赤血球(※)が壊れるときに生成される黄色の色素のことをいいます。胆汁色素とも呼ばれています。
(※)赤血球は肺から得た酸素を取り込み体の隅々に運ぶ役割をしています
生成されたビリルビンは血液によって肝臓に運ばれて、胆汁の中に捨てられます。
捨てられたビリルビンは胆汁の主成分になり、油を消化しやすくするなどの働きをしています。
肝機能障害や胆管障害などがある場合は、このビリルビンが血液中に漏れ出して増加していきます。正常な場合はごくわずかしか血液中に存在しないビリルビンが増えているとわかった場合は、肝機能などに何か問題が起きていると考えることができます。
では健康診断や人間ドックで分かる総ビリルビンの値はどのようにチェックしたら良いのでしょうか。
成人や乳児の基準値は?
成人の総ビリルビンの基準値は0.2~1.2 mg/dLといわれています。(出典:三菱化学メディエンス(株))
基準値を下回る分には特に問題はないですが、上回る場合は注意が必要です。
3mgを超えると皮膚が黄色くなり、10mgを超えると皮膚が黒ずんでくることもあります。
ビリルビンの値が高い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝癌などの肝臓の病気が疑われます。
また、胆石症や胆嚢がんも関係してきます。
ちなみに乳児の基準値は、生後間もなくは10〜20mgほどの数値になり、数ヶ月すると成人の値に近くなります。
総ビリルビンと胆石との関係
総ビリルビンの値が高い場合には、原因の一つとして胆嚢に結石ができている可能性が考えられます。
ビリルビンは胆汁に混ざり、尿や便とともに排出されるものですが、胆管に結石ができて流れが滞っていると、ビリルビンがうまく排出されずに体内に留まってしまうため、数値が上がってしまいます。
総ビリルビンが高いと色素胆石というビリルビンを主成分とした結石ができるのを促進させてしまうことになります。
総ビリルビンが高かった場合は
もし総ビリルビンの数値が異常に高かった場合は、肝機能などに何かしら異常がある可能性がありますので、精密検査などをきちんと受診することが望ましいです。
その他、肝臓に負担をかけるような生活習慣があれば見直すなど、早期に原因の解明と処置をされることが宜しいかと思います。
胆石性膵炎の原因や症状は?検査や治療方法について!
これまで胆石症という病気の原因や症状、胆石のできる仕組み、胆石症の手術方法、胆嚢がんや胆嚢ポリープのことなどをみてきましたが、今回は胆石が原因で起きる急性膵炎について書いてみたいと思います。
急性膵炎とは
急性膵炎とは、膵臓からでた消化酵素によって膵臓やその他の臓器が消化されてしまう病気で、急激に膵臓に炎症が起こります。症状としては上腹部に激しい痛みを感じることが多いようです。
炎症を起こしている膵臓からは、他の臓器に悪影響を及ぼす様々な物質が排出され、血液中に流れ込み全身へ広がってしまいます。そのため、心臓・肺・肝臓など他の臓器にもダメージが及び、重症の場合は命を落とす危険性もあるものです。
急性膵炎は男性に多い病気です。(女性の2倍)
発症時の平均年齢は男性が50代、女性が70代となっていて、高齢になるほど死亡率が増加する病気です。
急性膵炎になる主な原因はアルコールの過剰摂取です。これは「アルコール性急性膵炎」と呼ばれていて、原因の約40%〜50%を占めると言われています。
そして、その次に多い原因が「胆石」なのです。女性はアルコールよりも胆石が原因の方が多いとも言われています。これを「胆石性急性膵炎」と呼んでいます。
胆石性急性膵炎とは
胆のうや胆管にできた胆石がどのように急性膵炎を引き起こすかははっきりとは分かっていませんが、
胆管の結石が胆汁と膵液の出口である十二指腸乳頭にはまったり、引っかかったりすることで膵臓の炎症が起きると一般的には考えられています。
症状しては、アルコール性急性膵炎などと同様に、上腹部の激しい痛みや背中の痛みなどが伴います。その他にも吐き気、食欲不振、発熱などを伴うこともあります。
検査方法は
胆石性急性膵炎の検査方法はいくつかありますので、一部を紹介します。
●血液検査
肝機能に障害が出ている可能性がありますので、それに該当する数値の値で判断できます。
●CT検査
急性膵炎の診断に役立ちます。原因が胆石かどうかを判断することは難しい場合があります。
胆石性急性膵炎を予防するには
胆石性急性膵炎を予防するためには、原因となる胆石ができないようにすることが大切です。
胆石ができる主な原因はコレステロールの過剰摂取になりますので、食事の管理が重要になるということです。
規則正しい生活習慣と健康的な食事内容を心がけましょう。
胆嚢ポリープを改善して小さくするには?経過観察の期間や食生活など!
今回は胆嚢(たんのう)ポリープについてみていきたいと思います。
胆嚢ポリープとは、胆のうの内側にできる隆起性の病変の総称です。この胆嚢ポリープを改善していくための方法や経過観察をする場合の期間や食事などについて書いていきたいと思います。
胆嚢ポリープとは
先ほど説明した通り、胆のうの内側に隆起してできる病変のことです。ほとんどはコレステロールを主成分とした体に直接害を与えることの無いポリープです。しかしながら、中には悪性のポリープ(胆嚢癌)もありますので、ポリープがあると診断された場合は、より精密な検査や治療を行う必要があります。
大きさが7mm以上は要注意で,とくに10mm以上でポリープの付け根が太いものなどは胆嚢癌が疑われます。
大きさが7mm以上の場合は腹腔鏡下胆嚢摘出術や開腹手術を行い、病理検査で確定診断を得ることが重要です。
胆嚢ポリープの種類
胆嚢ポリープにはいくつかの種類があります。
1、コレステロールポリープ
ポリープの9割を占めると言われています。良性のポリープです。
2、炎症性ポリープ
粘膜細胞の増殖が原因で発生するポリープで良性です。
3、過形成ポリープ
胆のうの粘膜表面の細胞の過剰な増殖が原因で発生するポリープです。
4、腺腫性ポリープ
基本的には良性ですが、一部、胆嚢癌の発生源になるという報告があります。
5、胆嚢癌
胆のうの内側にできる悪性腫瘍(がん)です。
改善するためには?
ポリープの大半を占めるコレステロールポリープの場合は、特に切除などの処置をしなくても自然に消えることもあります。何かの拍子に胆のうの内側から剥がれ落ち、胆汁と一緒に流されていきます。
しかしながら、先ほど説明した通り、悪性の場合もありえますので、放置してはいけません。
経過観察になる場合やその期間は?
胆嚢ポリープが見つかってもすぐに手術などの治療をする訳ではありません。
一定の基準に満たない場合は、定期的な検査でポリープの状況を観察していくことになります。
例えば、5mm以下の小さなものであれば1年ごとのエコー検査を行ったり、10mm以下の場合は半年ごとに検査を行うなど、ポリープの状況に応じて観察期間は変動します。
経過観察中の生活は?
経過観察中でも普段の生活をして全く問題ありません。
しかしながら、胆嚢ポリープの原因の一部になる偏った食生活や運動不足などは改善することが望ましいと思います。動物性脂肪の多い食べ物や卵類・バター・チーズ・お菓子・アルコール類を好んで食べている人は要注意です。
痔の手術後の食事やアルコールは?安静期間や再発について
今回は痔の手術をした後の生活について掲載したいと思います。
手術をした後から食事などはどのような注意が必要なのか、また、安静にしておいた方が良い期間や再発に関する話についてみていきます。
痔の手術は日帰りで行うことができます
当院では主に、直腸粘膜がゆるんで脱肛してくる痔核に対して肛門は切開せずにゆるんだ直腸粘膜を切除して痔を吊り上げるPPH手術と、ゆるんだ直腸粘膜と痔核に硬化剤を注入するジオン(ALTA)注入法という治療方法を採用していますが、これらの手術は日帰りで行うことができます。
手術後は約2時間程度安静にしていただければ、自力で歩行することが可能でご帰宅いただけます。
また、排便もスムーズに行うことができます。
手術当日からシャワー浴、翌日から入浴が可能です。
食事で注意する点は?
食事自体は手術後当日から召し上がっていただいて問題ありません。
しかしながら、術後2週間〜3週間程度は出血や痛みが発生する危険性があるためアルコール類は避けてください。
また、香辛料などが使用されている刺激が強い食品もおすすめできません。
例えば以下のようなものは刺激物に該当すると考えられます。
・唐辛子、からし、わさび、胡椒、タバスコ
また、下痢にならないような食事の摂り方をおすすめします。
食物繊維や水分を多めに摂るなどの意識をされるとよろしいかと思います。
タンパク質や炭水化物ばかりといった偏った食事や暴飲暴食などはしないようご注意ください。
再発について
従来の痔の日帰り手術方法では、注射による硬化療法やゴムによる結紮といった簡単なものであったため、根治には至らず再発の可能性がありました。
当院の治療法であるPPH法は、根治性が高い治療方法で、従来の入院での痔核根治手術とほぼ同等に再発が少ない手術法です。
しかしながら、生活習慣が著しく悪いとまた痔が発症することはあります。下痢や便秘を繰り返すようだと新たな痔ができてしまうことも考えられますので、生活習慣を見直して再発防止に取り組んでいただければと思います。
痔のPPH法とはどんな手術?デメリットや後遺症は?費用は?
PPH法とは
痔の新しい手術方法であるPPH法とは、1993年にイタリアで開発された方法です。
イタリアのLongo博士という方が開発し、現在の欧米ではメジャーな治療方法になっています。
従来の痔の手術は手技で痔核を切除する方法が一般的でしたが、PPH法は特殊な専用器具を使用して手術を行います。
一般的な手術の場合は、肛門の中と周囲の皮膚の両方に傷ができますが、専用器具を使用するPPH法の場合は、皮膚が傷つくことがありません。
皮膚は傷つくと痛いですが、肛門の中の直腸粘膜には痛覚神経がないため、PPH法で手術を行うと痛みが非常に少なく済むことが特徴です。
PPH法の仕組み
PPH法の手術には、胃・腸をつなぐ自動吻合器と同じものを使用します。
肛門の内痔核のすぐ上の直腸粘膜の部分を筒状に切除します。そして脱出した(たるんで外にでた)痔核を肛門の中に引き上げます。
また、痔核の原因となる血管の切除も行います。これをすることで痔核や脱肛が縮小して改善されていきます。
PPH法の特徴
PPH法には以下の特徴があげられます。
・術後の痛みや排便時の痛みが少ない
・肛門周囲に傷ができず見た目がきれい
・従来の方法では時間がかかった全周性の大きな脱肛でも短時間で治療できる
・術後の肛門に腫れが起きにくく、きれいな肛門になります
・健康保険適応です
このようにこれまでの手術方法にはないメリットがあります。
詳しくは当院にご相談ください。
PPH法の後遺症は?
PPH法では必要最低限の切除しかしないため、後遺症の心配はほぼありません。
何十年も昔の痔の手術では、必要以上の切除により後遺症が残ってしまうケースがあったとしばしば耳にしたことがあります。
主な後遺症は「便漏れ」といい、肛門の閉まりが悪くなってしまい、便が漏れてしまうものです。しかしながら現在においては「便漏れ」の後遺症が残ることはほぼありません。
安心してご相談ください。
鼠径ヘルニアになった子供の手術方法は?麻酔や入院は必要?
鼠径ヘルニアは大人だけの病気ではありません。
生まれて間もない赤ちゃんでも鼠径ヘルニアが見られることがあります。
これは本来閉じているはずの腹膜の袋が鼠径部で開いたまま生まれてきてしまい、
そこに小腸などの組織が入り込んでしまうことが要因の一つと考えられています。
では、子供の鼠径ヘルニアはどのように治療を行うのでしょうか?
今回は子供鼠径ヘルニアの手術方法についてご紹介したいと思います。
子供の鼠径ヘルニアの手術方法は高位結紮(こういけっさつ)法
まず子供の鼠径ヘルニアは手術を行いますが、
当院での日帰り手術は2歳以上になってからをおすすめしています。
当院では2歳以上の子供鼠径ヘルニアには、高位結紮(こういけっさつ)手術を行っています。
これは筋膜が緩んでできたヘルニア嚢(ヘルニアの袋)を、糸で縛る手術です。
この糸は体内で溶ける素材でできているため、体内に残ることはありません。
また、成人の鼠径ヘルニア手術ではメッシュを使用して筋膜を補強する手術になりますが、
子供の手術の場合にはメッシュを使わず体内に異物は残さないようにします。
ヘルニアの袋に水が溜まっていたり、
袋が大きくなってしまっている場合は、袋も摘出します。
手術時には全身麻酔を行います
乳幼児や小学生以上の子供の場合には、マスクによる全身麻酔になります。
マスクでの麻酔は、用いる薬は甘い香りのする気体ですので、
お子様に不快な思いはさせないよう留意されています。
また、手術後にはすぐに麻酔をさますことができます。
全身麻酔に不安をお感じになる親御さんもいらっしゃいますが、
麻酔専門医が麻酔を担当し、手術は院長が執刀しますのでご安心ください。
手術時間は15分程度です。
手術後に入院は必要?
子供の鼠径ヘルニア手術も日帰り入院で行うことができます。
術後は2〜3時間程度、クリニック内で休息していただいた後、
帰宅していただくことができます。
手術後も安心してご自宅でお過ごしください。
後日の抜糸や消毒は必要ありません。
小さな傷跡も子供の成長とともにほとんど消えてしまいます。
親御さんへ
鼠径ヘルニアは自然治癒する病気ではありません。
オムツを変えているときなどに、足の付け根の膨らみが気になった場合は、
一度検査にお越しください。
放置しておくと、膨らみが大きくなっていき、
患部が血行障害を起こすと強い痛みが生じたり、
大変な手術が必要になってしまう場合がありますので、早期に対処してください。
決して珍しい病気ではありませんので、安心してお問い合わせください。
鼠径ヘルニアの日帰り手術ができる年齢は?手術後の違和感や傷跡は?
鼠径ヘルニアの日帰り手術
鼠径ヘルニアは日帰りで手術を行うことができます。
当院で行っているKugel法(クーゲル法)という手術方法は、
手術時間は15分〜20分程度と短く、手術の傷も小さいため、
入院する必要がありません。
手術の後に3時間程度安静にしていただければ歩いて帰っていただくことが可能です。(ただし車の運転は禁止させていただいています)
また、当院では手術時に、内部に溶ける糸を使用し、
傷口を固定するのも特殊な生体用瞬間接着剤を使用していますので、
手術後に抜歯や消毒を行う必要がありません。
日帰り手術は入院を伴わないため比較すると費用を抑えることができますし、
なかなか休みが取れないお忙しい方も受診していただきやすいかと思います。
日帰り手術にご不安な方はお問い合わせください。
当院では手術後に24時間連絡が取れる体制をとっていますのでご安心ください。
日帰り手術ができる年齢は?
鼠径ヘルニアは小児でもなる病気です。
20人に一人の割合で赤ちゃんも鼠径ヘルニアになっているというデータもあります。
これは泣くときにお腹に力が入るためと考えられています。
当院では日帰り鼠径ヘルニア手術ができる年齢は2歳以上からとしています。
子供は体の成長が途中で手術後も体型が変わって行くことが考えられるため、
メッシュなどの異物は一切使用しません。
高齢の方でも問題なく手術することができます。
特に高齢の方は入院という環境の変化で一時的な痴呆や幻覚症状などの弊害が
指摘されていますので、日帰りで手術を受けていただくことをおすすめしています。
手術後に違和感や傷跡は残るか?
鼠径ヘルニアの手術では、傷は3cm〜4cm程度と
小さくほとんど目立つことはありません。
ビキニラインに隠れる程度の傷跡です。
メッシュを用いた手術ではツッパリ感もないため
ほぼ違和感はないかと思います。
もし軽い痛みや違和感を感じる場合は、
退院時に処方するお薬を服用していただければ抑えることができます。