手掌多汗症

手掌多汗症、手汗の日帰り手術はおだクリニック日帰り手術外科へ

日帰り手術実績 29,357例

(平成19年10月〜令和6年2月)

当院では両わきから3mmの細径胸腔鏡を用いた低位交感神経遮断による手掌多汗症(手汗の多汗症)の日帰り手術を行っています。

患者様の手掌多汗症、手汗のお悩みを親身になってお聞きし、状態に応じた治療法をじっくりと相談いたします。

2017年4月10日から12日まで多汗症手術に関する国際学会である第12回国際交感神経外科シンポジウム(The 12th ISSS)をおだ院長会長として福岡で主催しました。詳しくは第12回ISSSをご覧ください。

2019年10月3日から5日まで第13回国際交感神経外科シンポジウム:ISSS(多汗症手術の国際学会)がイタリアのピサで開催されました。今回の理事会でおだ院長がISSS President(ISSS理事長)に就任しました。今後とも国内,海外において多汗症治療に貢献できるよう尽力いたします。

ネットでご希望の初診・再診の日時をご予約できます。

ネットで予約

※遠方からご来院の患者様で初診翌日に手術をご希望の場合は、ネット予約ではなく必ずお電話:092-534-7507でご予約ください。

特集1.手掌多汗症 日帰り手術の専門ホームページ

手掌多汗症 日帰り手術専門サイト

手掌多汗症日帰り手術のより詳しい情報はこちらをご覧ください。

特集2.手掌多汗症の一般的な治療内容の専門ホームページもご覧下さい。

手掌多汗症治療専門サイト

手掌多汗症の一般的な治療内容の詳しい情報はこちらをご覧ください。

手掌多汗症とは

交感神経が高ぶった状態により、手のひら、わき、足裏に過剰な発汗をきたす疾患です。原因不明とされ、全国で人口の約2%の患者がいるといわれています。 症状は手のひらにじんわりと汗が出る程度からぽたぽたと水滴が落ちてしまう状態まであり、緊張すると症状として現れます。

多汗症
多汗症

他人には分からない深刻な悩み

手掌多汗症は幼い時から発症することが多く、「フォークダンスの時に友達と手をつなぐのがイヤだった」、「試験の時にテスト用紙が濡れて困った」など、長い間悩みを抱えているケースが大半です。誰にも相談できず、想像以上に辛い思いを経験している方もおられます。

まずはそのお悩みを親身になってお聞きします

当クリニックには関東、関西など遠方からも手のひらの汗で悩んでいる患者様が来院されます。どんな症状で、どれだけ症状に悩まされているかしっかりとお聞きし、最適な治療法を選択していただきます。

手掌多汗症の手術には「代償性発汗」というデメリットが100%あるため、手術前のインフォームド・コンセントが大切です。代償性発汗とは、術後に頭部や胸、背中、太ももなど他の部位への発汗が増加する現象をいいます。当クリニックでは、この代償性発汗を少しでも抑えるため「低位(R4)交感神経遮断術」を実施。手術内容や仕組みについて、納得いただけるまで丁寧に説明いたします。大事なのはアドヒアランス、つまり医師から得た情報をもとに、患者さんが主体性を持って治療内容を選択することです。患者さんが望む治療を、私たちと一緒に考えていきましょう。

手のひらの多汗症でお悩みの患者様へひと言
 
長い間、手のひらの汗でお悩みであったこととお察し申し上げます。多汗症の悩みはご本人にしかわからない深刻な悩みです。私のこれまでの多汗症に関する手術経験と知識を生かして、まずは外来で患者様の悩みを親身になってお聞きします。それから一番適した治療法を選択していただきたいと思います。

一般に行われている多汗症手術の最大の欠点が代償性発汗です。私は長年の経験から、代償性発汗を少しでも抑えるため低位(R4)交感神経遮断を実施しています。キズはわずか3ミリで、手術時間は両手あわせて10分以内です。手術直後から手のひらの汗はほぼ消失します。全身麻酔ですが術後3~4時間で退院できます。キズはテープで固定するだけですから、抜糸や消毒の必要もなく、翌日からシャワー、翌々日から入浴可能です。

代償性発汗には個人差があり、R4遮断でも必ず代償性発汗は出現しますので、この手術をお受けになるかどうかは、患者様ご自身がいかに手の汗で悩んでおられるかです。

当院の手術方法

低位交感神経遮断術(低位ETS)

当クリニックでは、手のひらの汗を支配する第2~第4交感神経のうち、第4交感神経(第4肋骨の高さで神経切離)を遮断する手術を行っています。

2007年10月開院以来,多汗症手術件数は8,000例以上です。

多汗症手術の世界的権威であるDr.TelarantaDr.Linの説では、高位の神経を遮断するほど代償性発汗は高度になります。一方、手のひらの汗は高位の神経を遮断するほど減少します。この相反する二つのバランスをいかにうまく調整するかが重要です。

当院で手術をお受けになった患者様の声はコチラ

写真左:Dr.Telarantaとおだ院長(第6回国際交感神経外科シンポジウム、ウイーン)、写真右:Dr.Linとおだ院長(第11回日本胸腔鏡下交感神経遮断研究会福岡)

Dr. Telarantaとおだ院長(第6回国際交感神経外科シンポジウム、ウイーン)
Dr. Linとおだ院長(第11回日本胸腔鏡下交感神経遮断研究会福岡)
当院の低位交感神経節切除術

院長が、勤務医時代を含め担当した過去10,000例以上の多汗症手術の経験から、

1.第2交感神経(R2)の遮断では,てのひらの汗がまったくでなくなり、代償性発汗が高度です。第2交感神経は遮断すべきではありません。
2.第3交感神経(R3)の遮断では、てのひらの汗がほぼ完全にでなくなる一方、代償性発汗が多く出ることもあります。
3.第4交感神経(R4)の遮断では、てのひらの過剰発汗が停止し、ほぼサラサラになります。代償性発汗の程度は個人差がありますが、R2遮断、R3遮断よりも少なくなります。

この第2交感神経は遮断すべきではないという考えは世界的に広がりつつあります。

代償性発汗の部位や量には個人差がありますが、100%の患者様に出現しますので、この手術はいかに手のひらの汗で長い間悩んでおられたかが手術の適応となります。手術結果には個人差があるため、R4遮断でも予想以上の過剰な代償性発汗で後悔することがあります。代償性発汗で手術を後悔しないためには手術を両側同時にするのではなく、片方ずつ慎重に行う方法があります。片側手術では代償性発汗は両側手術の半分の量になりますから、いきなりブラウスやズボンが濡れるような発汗量ではありません。まずは利き手の手術を行い,自分の代償性発汗の量,部位を納得してから反対側の手術をするかどうかを慎重に判断すれば、代償性発汗を体験してから反対側の手術を受けることになり、後悔するリスクを避けることができます。 まずは患者様の悩みをしっかりとお聞きし、片側だけ慎重に手術をするか、一度に両側の手術をするのか、患者さんが望む治療を、私たちと一緒に考えていきましょう。

※以前は胸膜を切開して神経節そのものを切除する手術法でしたが、現在は肋骨上で神経幹を切離する手術方法が一般的です。したがって、ここで説明する神経の高さは肋骨の部位で表しています。当院では神経再生による再発を防げるように、第4肋骨の高さ(R4)で縦横に広範に交感神経を焼灼し切離しています(下図:丸で囲んだ範囲)。

多汗症手術
多汗症手術

よって、当院が推奨する低位ETS方法とは、
当院の手術は第4交感神経(R4)を広範に遮断します(第4肋骨の高さ)。てのひらの過剰な汗は停止し、ほぼサラサラになります。

他人と手をつないだり、字を書くときに、これまでの気遣いや不便を感じることはありません。手のひらの汗はほんの少しだけでることもありますが、逆に手のひらの汗がまったくでなくなると過剰な代償性発汗を生み出します。
生理学的にも、てのひらの汗がほんの少しだけでる状態は、からだの正常な自律神経のバランスを保っているという証拠です。むしろ第2,3交感神経遮断ではてのひらがカサカサになりハンドクリームが必要になることもありました。

多汗症手術

    • 多汗症手術効果とデメリット
      1.手汗はサラサラになります。
      2.代償性発汗は多かれ少なかれ100%に出現します。代償性発汗の発汗部位も発汗量も個人差があります。片側手術では代償性発汗の発汗量が半分で済むため、まずは慎重に利き手の片側だけ手術する選択肢があります。
      3.わき汗の効果は8割程度、足汗の効果は1割程度です。手ほどサラサラになるわけではありません。
      4.熱いものや辛いものなどを食べたときに顔から出る汗(味覚性発汗)が増加することがあります。
      5.手術とは直接因果関係がないような精神的な不定愁訴、うつ状態、心因反応が増悪することがあります。

    • 当院での麻酔方法
      全身麻酔を行い、わきの部分より3mmの胸腔鏡を用いて手術をします。
      ご希望があれば、ご家族の方はモニター室で患者様の手術の様子もご覧になれます。

    • 手術時間と症例数
      手術症例数に相関して手術時間が短縮され、現在までにおだ院長が術者または助手執刀した症例数は10,000例以上となり、平均手術時間は6~8分程度です。
      (おだ院長が佐田厚生会佐田病院勤務時代に発表したデータです。現在ではさらに手術時間が短くなり両側手術で6~8分、片側手術は3~4分程度です。)
      手術時間と症例数
  • 当院での手術費用
    当院での多汗症手術費用は健康保険適応で3割負担の場合、約8万円です(高額医療の限度額を越した差額分は後で返金されるます)。クレジットカードでのお支払いも可能です。また、日帰り入院(1日入院)での手術ですので、生命保険の入院給付金や手術給付金の対象(手術名:胸腔鏡下交感神経切除術手術名手術、コードK196-2)です。

    *当院では両手同時手術または片側手術の選択は原則として患者様のご希望に沿って行いますが、手術の費用は両側でも片側でも同額となります。

発汗計

手術前の手汗量(赤:右手、青:左手)
 右手:Ave 1.021 mg/cm2・min
    Max 1.448 mg/cm2・min
 左手:Ave 1.013 mg/cm2・min
    Max 1.440 mg/cm2・min
SKN-2000M Perspiration Meter(SKINOS)

発汗計

手術後の手汗量(赤:右手、青:左手)
 右手:Ave 0.152 mg/cm2・min
    Max 0.166 mg/cm2・min
 左手:Ave 0.102 mg/cm2・min
    Max 0.116 mg/cm2・min
SKN-2000M Perspiration Meter(SKINOS)

多汗症手術

  • 手術創部と術後経過
    手術直後から手はサラサラになります。キズは小さく、テープで固定しますので抜糸や消毒の必要もありません。術後3~4時間で退院でき、翌日からシャワー、翌々日から入浴可能です。遠方の患者様は手術翌日、近郊の患者様は1週間以内に再来していただきます。

国際学会活動

  • おだ院長は2年ごとに開催される国際交感神経外科シンポジウム(International Symposium of Sympathetic Surgery, ISSS)に日本における多汗症治療の現況を20年間にわたり10回連続で発表しています。
  • 2015年10月に南米チリのサンチャゴで開催された第11回国際交感神経外科シンポジウム(多汗症手術の国際学会、International Symposium of Sympathetic Surgery, ISSS)でおだ院長が招待講演を行いました。
  • 2016年4月に韓国からCHA大学呼吸器外科教授Doo Yun Lee先生、Yonsei大学呼吸器外科教授Sungsoo Lee先生、Ajou大学呼吸器外科Seokjin Haam先生の3名の先生方が当院までお越しになり、当院の多汗症手術見学と多汗症の最新情報の意見交換を行いました。
  • 2016年7月に韓国Yonsei大学Gangnam Severance病院で開催された韓国多汗症シンポジウムでおだ院長が招待講演を行いました。
  • 2017年3月に中国の海口市で第8回中国多汗症学会でおだ院長が招待講演を行いました。
  • 2017年4月に多汗症治療をメインテーマとする第12回国際交感神経外科シンポジウム(The 12th ISSS)をおだ院長が会長として福岡で主催しました。詳しくは第12回ISSSをご覧ください。
  • 2019年10月にピサ(イタリア)で第13回国際交感神経外科シンポジウム(The 13th ISSS)が開催され、理事会でおだ院長がISSS President (学会理事長)に就任しました。
  • 2022年12月に第14回国際交感神経外科シンポジウム(The 14th ISSS)が中国の北京でWeb開催され、おだ院長は低位交感神経遮断(R4-ETS)での片側手術(利き手のみ)後に、反対側の手の発汗も抑止されることを発汗計を用いて定量的に証明した調査結果を発表しました。利き手がサラサラになれば日常生活の悩みが軽減し、精神的に楽になることで、精神性発汗である過剰な手汗が両手とも抑制されると考えられます。
  • 2023年6月に第31回アジア心臓・胸部外科学会総会が韓国の釜山で開催され、おだ院長は多汗症治療の最先端というテーマで招待講演を行いました。
12th ISSS

代償性発汗について

低位(R4)交感神経遮断でも、夏の暑いときや寝汗で背中や胸、ふとももなどからこれまで以上に汗が増加するようになります。しかし暑い夏に外出して歩き回ったり,マラソンなど激しい運動をしたときは顔,額をはじめ背中や胸などから多量の発汗は誰でもあります。したがって低位交感神経遮断を受けた患者様が夏の暑いときに体の一部から汗がでるのは正常な反応であり、これらの汗は代償性発汗というよりも反応性発汗という言葉が用いられます。ではどのくらいの汗の量かといえば、個人で感じ方が違うので言葉では表現できませんが、当院で行っているR4遮断ではR2遮断やR3遮断よりも代償性発汗が軽度であることは生理学的に証明できます。一般的には高位の交感神経を遮断するほど体温調整を支配する視床下部から「もっと汗を出して体を冷やせ」という命令(フィードバック機構)が強く作用することにより代償性発汗が過剰に増加すると考えられています。代償性発汗は手のひら汗が減少した分だけ他の部位の汗が増える現象ではありません。体温調整するフィードバック機構により脳から命令が出て背中や胸から汗がでる現象ですので、手術前の手汗の量とはまったく相関しません。手の汗が少ない人が代償性発汗が少ないわけではありません。当院では手の汗が止まるできるだけ低位のR4遮断することにより、フィードバック機構による代償性発汗はR2遮断やR3遮断に比べ少なくなります。汗の量には個人差もありますが、一般的にはR4遮断では下着を何枚も何枚も交換しなければならないといった過剰な代償性発汗ではありません。しかし手術結果には個人があり、R4遮断でも予想以上の過剰な代償性発汗で後悔することがあります。これまでに当院で行ったR4遮断の患者様は8,000人以上になりましたが、98%以上の患者様は長年の手の汗の悩みが解消されてとても満足されています。しかし私が知り得る限りで少なくとも20人程度(全体の0.3%)の患者様は、暑い夏や運動時に自分が予想していた以上に背中や胸、ふとももから汗が出るようになったといって手術を後悔されています。したがってR4遮断でも代償性発汗というデメリットは100%ありますので、この手術をお受けになるかどうかは、患者様ご自身がいかに手の汗で悩んでおられるかです。代償性発汗には個人差があり、代償性発汗で後悔しても再手術で元に戻すことはできません。

片側ずつ慎重に手術する方法について

手術を後悔しないためには手術を両側同時にするのではなく、片方ずつ慎重に行う選択肢があります。片側手術では代償性発汗は両側の半分の量になりますから、いきなり後悔するような代償性発汗発汗ではありません。まずは利き手の手術を行い、自分の代償性発汗の量、部位をすべて納得してから反対側の手術をするかどうかをゆっくりと判断すれば、少なくともシャツやズボンが濡れるほどの過剰な代償性発汗で後悔することはありません。利き手がサラサラになれば「字を書くときに紙がぬれない」、「躊躇なく他人と手を触れることができる」など、利き手だけの手術でも手術前とは全然違うと十分に満足されている患者様も多くいらっしゃいます。しかも利き手がサラサラになれば精神的にもリラックスできるため、3割の患者様では反対側の手の汗も減少しています。片側ずつ慎重に手術すれば、代償性発汗を体験してから反対側の手術を受けることになり、少なくとも過剰な代償性発汗で後悔するリスクを避けることができます。

再発について

遮断した神経が元の状態にもどって手の汗が手術前と同様に出るようになることを再発いいますが、文献的には多汗症手術後の再発率は1~5%程度といわれています。高位の神経遮断でも低位の神経遮断でも再発はありますが、低位の交感神経遮断(R4)の方が再発しやすいということはありません。当院ではこれまでに8,000人以上の手掌多汗症患者様にR4遮断手術を行っていますが、手術後1~数年後に手術前よりは少ないとはいえ、手の汗が再び出るようになってR3遮断の追加の再手術をお受けになった患者様が106人(全体の1.4%)おられます。逆に他院でR2またはR3遮断をうけた後に再発して当院でR4遮断の追加の手術受けた患者様も50人以上おられます。すなわち他院で高位の交感神経遮断後に再発した場合は当院ではR4遮断を追加し、当院でR4遮断後に再発した場合は当院ではR3遮断を追加しています。

クリップ法について

クリップ法でも神経に不可逆的なダメージが起こりえますので、残念ながらクリップを除去すれば必ず元の状態に戻るとは限りません。
これまでクリップを除去した海外でのデータでは約7割弱の患者様で神経が回復していますが、逆に言えば約3割強の患者様では神経は回復しておりません。特にクリップ法術後から時間が経つほど回復率は減少します。
またクリップ法は手術の際に出血などのリスクがあり、電気メスによる完全遮断に比べて再発のリスク高くなることが危惧されるため、開院当初はクリップ法を推奨していましたが、現在はR3遮断の追加手術でも電気メスによる完全遮断を行っております。

低位交感神経遮断(R4遮断)の有効性は国際学会でも発表されています

おだ院長は、2年毎に開かれる多汗症の国際学会で2003年から20年間にわたり10回連続して論文を発表しています。
このような国際学会発表など長年の経験から得た多汗症に関する知識と多くの手術症例を今後の多汗症診療に生かしていきます。

2015年10月に南米チリ(サンチャゴ)で第11回国際交感神経外科シンポジウム(International Symposium of Sympathetic Surgery, ISSS)が開催され、おだ院長が招待講演を行いました。2016年7月に韓国(ソウル)で第1回韓国多汗症学会でおだ院長が招待講演を行いました。2017年3月に中国(海口)で第8回中国多汗症学会でおだ院長が招待講演を行いました。

2017年4月にはおだ院長が第12回国際交感神経外科シンポジウムを福岡で開催しました。

2019年10月に第13回国際交感神経外科シンポジウムがイタリアのピサで開催され、今回の理事会で小田院長がISSS President(学会理事長)に就任しました。

2022年12月に第14回国際交感神経外科シンポジウムが中国の北京でWeb開催されました。おだ院長は低位交感神経遮断(R4-ETS)での片側手術(利き手のみ)後に、反対側の手の発汗も抑止されることを発汗計を用いて定量的に証明した調査結果を発表しました。利き手がサラサラになれば日常生活の悩みが軽減し、精神的に楽になることで、精神性発汗である過剰な手汗が両手とも抑制されると考えられます。

第14回国際交感神経外科シンポジウム(北京、中国、2022年)の詳細
第13回国際交感神経外科シンポジウム(ピサ、イタリア、2019年)の詳細
第12回国際交感神経外科シンポジウム(福岡、日本、2017年)の詳細
第11回国際交感神経外科シンポジウム(サンチャゴ、チリ、2015年)の詳細
第10回国際交感神経外科シンポジウム(メルボルン、オーストラリア、2013年)の詳細
第9回国際交感神経外科シンポジウム(オーデンセ、デンマーク、2011年)の詳細
第8回国際交感神経外科シンポジウム(ニュ-ヨーク、米国、2009年)の詳細
第7回国際交感神経外科シンポジウム(ポルト・デ・ガリーニャス、ブラジル、2007年)の詳細

学会
学会
学会

当院の多汗症手術に関する論文

手掌多汗症に対する胸腔鏡下低位交感神経遮断術による日帰り手術の現況と術後アンケート調査結果

手掌多汗症に対する胸腔鏡下交感神経遮断術による日帰り手術3141例の経験

手掌多汗症に対する学童期の胸腔鏡下交感神経遮断術

利き手のみ片側または両側同時手術を行った手掌多汗症患者の術後満足度調査

手掌多汗症に対する片側胸腔鏡下交感神経遮断術による両側手掌発汗抑制効果に関する定量的評価

手術以外の多汗症治療法

手術以外の多汗症治療法
1.抗コリン剤内服薬(プロ・バンサイン)

手汗が出始める前の朝起床時に1~2錠内服すると発汗を抑えることができます。副作用はのどが渇くことですが、水分を補給すると汗が増加しますのでこれを我慢する必要があります。処方箋が必要ですので、当院でも処方いたします。

2.アルミニウム・ローション

市販されている制汗ローションは濃度が低く制汗作用が弱いため、当ビル1階のドレミ薬局にお願いして20%アルミニウムローションを取り扱っています。処方箋は不要です。お求めおよび詳しい使用方法はドレミ薬局(下記)にお問い合わせ下さい。

制汗ローションのお問い合わせ
ドレミ薬局
福岡市中央区高砂1-8-8
TEL:092-405-0333

アルミニウム・ローションのご注文はコチラ

Q&A

多汗症手術は保険が効きますか?

当院での多汗症手術の費用はすべて保険適応で3割負担の場合、約8~9万円です。片手も両手も同額です。両側手術と片側手術にはそれぞれ長所と短所があるため、当院では原則として両側の同時手術行うか片側だけの手術を行うかは患者様に選択していただいています。クレジットカードも使用可能です。生命保険の手術給付金の対象です(胸腔鏡下交感神経節切除術、手術コードK196-2)。

わきの汗が一番気になるのですが・・・

わきの汗はおもに第4~第5胸部交感神経で支配されます。最近の知見では、わきの汗の交感神経は細かい枝分かれ(バイパス)が豊富なため、交感神経を完全に切除することがポイントです。
わきはもともとジメジメした部分ですので、完全には汗が停止しないこともあり、少しは汗が残ることがあります。数年後の再発率も手に比べ高くなります。第4~第5の低位の胸部交感神経ですので、代償性発汗は少ないものの、必ず代償性発汗が出現します。
したがって、わきの汗が一番気になり、てのひらの多汗がない方は、交感神経切除術よりも美容整形外科が行うわきの汗腺切除術(永久脱毛やワキガ手術と同様の手術)やボトックス注射(医療機関によっては保険適応となります。当院ではボトックス治療は行っておりません。)をお勧めします。わき汗だけの場合は交感神経遮断の適応にはなりません。

てのひらの多汗症手術で足の裏の汗も停止しますか?

足の裏の汗は腰部交感神経支配ですが、胸部交感神経遮断でもほぼサラサラになる患者様が1割程度、少し減少する患者様が3~4割程度です。
しかし逆に言えば半数以上の患者様で足の裏の汗にはまったく効果がありません。また胸部交感神経遮断後にむしろ足の裏の汗が増加した患者様も7%いらっしゃいました。足の裏の汗が気になる場合は、開腹もしくは腹腔鏡を用いた腰部交感神経遮断やアルコール注入による腰部交感神経神経ブロックなどの手段がありますが、日本ではほとんど実施されていません。足の汗は塩化アルミニウムローションや汗の吸収性のよい靴下を履くなどなどで対応するしかないと思います。

てのひらの多汗症手術で足の裏の汗も停止しますか?
てのひらの多汗症手術で足の裏の汗も停止しますか?

人前で頭・顔面から汗がふき出て困っています。

頭・顔面の汗は第2胸部交感神経で支配されます。高位の交感神経遮断でも顔の汗に対する効果は8割程度で、さらに術後の過剰な代償性発汗は必ず出現するため、手術を後悔される方の頻度が高くなります。
したがって頭・顔面多汗に関しては、仕事上きわめてお困りの方のみに限定して手術を行うべきです。当院では原則として手術は選択せずにまずは抗コリン剤などの内服薬をお勧めしています。それでも手術を希望される患者様には第2と第3の間をクリップで遮断する手術を行っていました。
これまでに当院で顔面多汗症または赤面症でクリップ法による高位の交感神経遮断を行った患者様は約30人でそのうち3人の患者様は過剰な代償性発汗で手術を後悔し最終的にクリップを除去しました(クリップを除去しても遮断前の状態まで完全に戻るわけではなく、クリップ除去には癒着や出血などで手術が困難となることもあります)。さらにクリップ法は出血のリスクがあるため、現在は当院ではクリップ法は行っていません。
当院の治療方針としましては、顔面多汗症、赤面症の患者様には交感神経遮断手術はお勧めしておりません。
それでも手術をご希望される患者様には当院では顔面多汗症に対しては第3交感神経を遮断しますが、代償性発汗で後悔しても元には戻りませんので、まずは片側を手術して、その結果、片側の顔の顔面多汗症の効果あり、かつ代償性発汗が許容内であれば十分に経過をみてからさらに反対側の追加手術を慎重に検討します。

片側だけの交感神経遮断も可能ですか?

片側だけの交感神経遮断では当然のことながら、片側しかてのひらの汗が停止しませんが、代償性発汗の量は半分で済むため、まずは片方だけ手術を受けてみるという慎重な考え方があります。手術時間は片側5分、両側10分でいずれも短時間です。片側でも両側でも手術費用は同じですので、片側ずつ2回手術をお受けになる場合は患者様が負担する費用と日数が2倍になります。両側手術と片側手術にはそれぞれ長所と短所があるため、当院では原則として両側の同時手術行うか片側だけの手術を行うかは患者様に選択していただいています。代償性発汗には個人差があるため、まずは利き手を手術し、代償性発汗の程度を自覚してから、あらためて他方の手の手術を受けるどうかを判断すれば、少なくとも過剰な代償性発汗で後悔するリスクを避けることができます。利き手がサラサラになっただけでも患者様は十分に満足されています。しかも利き手がサラサラになれば精神的にもリラックスできるため、3割の患者様では反対側の手の汗も減少しています。

赤面症にも効果がありますか?

顔面多汗症や赤面症の患者様では高位の第2交感神経を遮断する必要がありますが、赤面症に対する交感神経遮断術の効果は客観的な評価が難しく、有効率は確定しておりません。また、高位の交感神経を遮断すると過剰な代償性発汗が100%出現します。当院の治療方針としましては、顔面多汗症、赤面症の患者様にはこの手術はお勧めしておりません。
それでも手術をご希望される患者様には当院では赤面症に対しては第3交感神経を遮断しますが、代償性発汗で後悔しても元には戻りませんので、まずは片側を手術して、その結果、赤面症に効果あり、かつ代償性発汗が許容内であれば十分に経過をみてからさらに反対側の追加手術を慎重に検討します。

低位(R4)交感神経遮断術では代償性発汗はまったくありませんか?

低位(R4)交感神経遮断でも、夏の暑いときや寝汗で背中や胸、ふとももなどからの汗がこれまで以上に必ず増加します。しかし一般的に誰でもマラソンをしたり暑いときは顔などから多量の発汗があります。したがって低位交感神経遮断を受けた患者様に夏の暑いときなどに体の一部から汗がでるのは正常な反応であり、これらの汗は代償性発汗というよりも反応性発汗という言葉が用いられます。代償性発汗は高位の交感神経遮断ほど多量に発生し(R2>>R3>R4)、複数の交感神経節を遮断するほど増加します。
したがってR4単独遮断が最も代償性発汗が少なくなります。これまで当院で行ったR4遮断7000例以上の患者様では、ほとんどの患者様が夏の暑いとき以外では背中やふとももの汗はほとんど気にならない程度の発汗量で手術結果に満足されています。国際学会においてもR4遮断では高度の代償性発汗はほとんどおこらないことが証明されています。
発汗の量は個人の感じ方で差があるため、代償性発汗にも個人差があります。これまでに私が知りうる限りで10人以上(全体の約0.3%)の患者様が、R4遮断でも自分が予想していた以上に代償性発汗が多かったとの理由で手術を後悔した患者様がおられます。多汗症手術には代償性発汗というデメリットが100%ありますので、手術の選択はいかに手の汗で長年悩んでおられるかです。

再発した際にはどのような再手術を行います?

R4遮断では手のひらの汗が停止するギリギリの高さですのでR2遮断やR3遮断よりも再発率が高くなることが危惧されますが、これまでの当院の経験では再発率は1.5%であり、高位神経遮断の再発率と差はありません。R4遮断後に再発した場合は再手術でR3を追加遮断します。再手術により手のひらの汗は再度減少します。再手術でR3を追加遮断すると代償性発汗も増加しますが、R4遮断で再発した患者様は手の汗が停止する高さがR4よりも少し高位にあると考えられ、その場合はR3遮断を追加しても顔の汗は完全に停止するわけではないので代償性発汗の増加は抑えられることになります。逆に他院でR2もしくはR3遮断を受けて再発した患者様には当院での再手術でR4を追加遮断しています。

代償性発汗以外の副作用はありますか?

味覚性発汗といって辛い物や熱いものを食べたときに顔からの発汗が増加することがあります。Th1神経節(星状神経節と癒合)を遮断するとホルネル症候群(おもな症状は眼瞼下垂:まぶたが下がってしまう状態)がおこりますが、R2遮断やR3遮断でもまれにホルネル症候群の合併症が報告されています。永久的な合併症ですので絶対に避けなければなりませんが、R4神経節は星状神経から離れているため、私が知る限りR4遮断ではホルネル症候群の合併報告はありません(詳しくは2007年国際学会のページ)。交感神経遮断で徐脈になることがまれに報告されていますが、私がこの手術を始めた初期の200例の患者様に手術前、手術後に心電図検査をおこなったところ、どなたも心電図上の変化はありませんでした。しかし徐脈になる心疾患(洞不全症候群など)を合併している患者様では交感神遮断手術は避けるべきと考えます。その他、手術後に多様な不定愁訴(頭痛、顔の紅潮、寒気、気力の低下など)、心因反応、うつ状態を訴えた患者様もおられましたが、精神的な要因が強く、手術との直接的な因果関係は不明です。交感神経遮断には代償性発汗など患者様のデメリットになる要素がありますので、患者様に手術前に十分なインフォームドコンセントを行い、治療方針を決定させていただいています。

手のひらの汗の再発はありますか?

これまでにR2遮断やR3遮断手術後に神経が再生し再発することが1~5%と報告されています。R2遮断やR3遮断とR4遮断では再発率に差はなく、当院の15年間のデータ(7000例)ではR4遮断後に再発または手の汗が少しでるために、1年~数年後に再手術をお受けになった患者様は99名(全体の1.4%)です。

高位の交感神経遮断ではどうして代償性発汗が増加するのですか?

代償性発汗の詳しいメカニズムは解明されていませんが、視床下部という脳の一部からフィードバック現象で代償性発汗が起こるといわれています。人間のからだは頭(脳)を第一に守るよう制御されています。マラソンなど激しい運動したときや夏の暑いときにまず最初に顔や頭から汗がでるのは、頭に熱がこもらないようにコントロールされているためです。高位の交感神経とくに第2交感神経を遮断すると頭や顔から汗がまったくでなくなりますので、熱から脳を守るため視床下部からもっと汗を出すように命令がでます(フィードバック現象)。
ところがいくら命令がでても顔や頭からは汗がでませんので、少しでも熱を発散するために背中や胸、ふとももなどから汗がでるようになります。しかし頭は熱がこもったままですので、もっと汗をだすように視床下部から命令が出続ける結果、背中などに過剰な代償性発汗が生じることになります。以上のように頭から汗をだすことはからだのバランスを保つ上で極めて重要なことです。しかし第4交感神経遮断でも顔の汗がまったく減少しないわけではなく、代償性発汗は100%の患者様に出現しますので、この手術をお受けになるかどうかは、いかに手のひらの汗で悩んでおられるかです。

小学生の子供が手掌多汗症なのですが・・・

お子様の手術は原則として大人の体になってから、具体的には中学生以上でお勧めしています。しかし小学生でも本人が非常に気にしていたり、友達から手をつなぎたくないと言われいじめの対象になっている場合などは手術を行っています。当院ではこれまでに8歳から78歳の患者様に多汗症手術を行っています。お子様が小さい間は、このままご両親で見守っていて差し上げるのが一番だと思います。

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