手掌多汗症

手掌多汗症とは

交感神経が高ぶった状態により、手のひら、わき、足裏に過剰な発汗をきたす疾患です。原因不明とされ、全国で人口の約2%の患者がいるといわれています。 症状は手のひらにじんわりと汗が出る程度からぽたぽたと水滴が落ちてしまう状態まであり、緊張すると症状として現れます。

他人には分からない深刻な悩み

手掌多汗症は幼い時から発症することが多く、「フォークダンスの時に友達と手をつなぐのがイヤだった」、「試験の時にテスト用紙が濡れて困った」など、長い間悩みを抱えているケースが大半です。誰にも相談できず、想像以上に辛い思いを経験している方もおられます。

まずはそのお悩みを親身になってお聞きします

手掌多汗症の日帰り手術専門外科は全国的に少なく、当クリニックには遠方からもたくさんの患者様が来院されています。どんな症状で、どれだけ症状に悩まされているかしっかりとお聞きし、最適な治療法を選択していただきます。

手掌多汗症は特にインフォームド・コンセントが大切です。というのも、手掌多汗症には「代償性発汗」というデメリットがほぼ100%あるからです。代償性発汗とは、術後に頭部や胸、背中、太ももなど他の部位への発汗が増加する現象をいいます。当クリニックでは、この代償性発汗を少しでも抑えるため「低位(Th4)交感神経遮断術」を実施。手術内容や仕組みについて、納得いただけるまで丁寧に説明いたしますので、一緒に考えていきましょう。

当院の手術方法

低位交感神経遮断術(低位ETS)

当クリニックでは、手のひらの汗を支配する第2~第4交感神経のうち、第4交感神経のみを遮断する手術を行っています。

多汗症手術の世界的権威であるDr. TelarantaDr.Linの説では、高位の神経を遮断するほど代償性発汗は高度になります。一方、手のひらの汗は高位の神経を遮断するほど減少します。この相反する二つのバランスをいかにうまく調整するかが重要です。

(左:Dr. Telarantaとおだ院長  第6回国際交感神経外科シンポジウム(ウイーンにて))
(右:Dr. Linとおだ院長  第11回日本胸腔鏡下交感神経遮断研究会(福岡)にて)

院長が、勤務医時代を含め担当した過去4000例以上の多汗症手術の経験から、

1.第4交感神経(Th4)の遮断では、てのひらの過剰発汗が停止し、代償性発汗の程度も軽度(~中程度)です。
2.第3交感神経(Th3)の遮断では、てのひらの汗が完全にでなくなる一方、代償性発汗が多く出ることもあります。
3.第2交感神経(Th2)の遮断では,てのひらや顔の汗がまったくでなくなり、代償性発汗が高度です。第2交感神経は遮断すべきではありません。

この第2交感神経は遮断すべきではないという考えは世界的に広がりつつあります。

 

よって、当院が推奨する低位ETS方法とは、
当院の手術は第4交感神経のみを遮断します。てのひらの過剰な汗はほとんど消失します。
他人と手をつないだり、字を書くときに、これまでの気遣いや不便を感じることはありません。手のひらの汗はほんの少しだけでることもありますが、逆に完全な手のひらの汗の停止は過剰な代償性発汗を生み出します。
生理学的にも、てのひらの汗がほんの少しだけでる状態は、からだの正常な自律神経のバランスを保っているという証拠です。むしろ第2,3交感神経遮断ではてのひらがカサカサになりハンドクリームが必要になることもありました。

  • 代償性発汗について
    低位(Th4)交感神経遮断でも,夏の暑いときや寝汗で背中や胸、ふとももなどからこれまで以上に汗が増加するようになります。しかしこれは、暑い夏の外出や激しい運動をすると誰でも多量の汗をかくのと同じで、正常な反応でしょう。汗の量には個人差もありますが、シャツを何枚も交換しなければいけないような過剰な代償性発汗はありません。
    高位の交感神経遮断(Th2,Th3)では顔・頭の汗も出なくなるため、暑い時や運動した後に頭に熱がこもってしまい、体温調整を支配する視床下部から‘もっと汗を出して頭を冷やせ‘とう命令(フィードバック機構)が出ることにより代償性発汗が過剰に増加すると考えられています。低位(Th4)交感神経遮断では正常に汗が出ますので、フィードバック機構による代償性発汗は最小限で済みます。
    ただし、これまで5~6人(全体の0.3%)の患者様が、自分の予想以上に背中や胸から汗が出るようになったといって手術を後悔されています。術後の代償性発汗の悩みと現在の手汗の悩みは比較はできないため、手術を受けるかどうかは、患者様がどれだけ手のひらの汗で悩んでいるか次第です。
    ※当院で行った低位(Th4)交感神経遮断の患者様(2600人以上)の98%以上の患者様は手汗の悩みが解消されとても満足されています。
  • 当院での手術内容について
    全身麻酔を行い、わきの部分より3mmの胸腔鏡を用いて手術をします。手術時間は両手合わせて10分以内です。キズは小さく、テープで固定しますので抜糸や消毒の必要もありません。術後3~4時間で退院でき、翌日からシャワー、翌々日から入浴可能です。
  • 再発について
    高位の神経遮断でも低位の神経遮断でも再発(遮断した神経が元の状態にもどり、手の汗が手術前と同様に出るようになること)はありますが、低位交感神経遮断(Th4)の方が再発しやすいということはありません
    ※当院では手術後1~数年後に手術前よりは少ないとはいえ,手の汗が再び出るようになってTh3遮断の追加の再手術をお受けになった患者様が34人(全体の1.4%)おられます。
    発汗の量は個人の感じ方で差があるため、代償性発汗にも個人差があります。
    これまでに私が知りうる限りで5~6人(全体の約0.3%)の患者様が、自分が予想していた以上に代償性発汗が多かったとの理由でTh4遮断手術を後悔した患者様もおられます。多汗症手術には代償性発汗というデメリットが程度の差こそあれ100%の患者様に出現するので、手術の選択はいかに手の汗で長年悩んでおられるかです。
  • 手術時間と症例数
    手術症例数に相関して手術時間が短縮され、現在までにおだ院長が術者または助手執刀した症例数は4000例以上となり、平均手術時間は6~8分程度です。
    (おだ院長が佐田厚生会佐田病院勤務時代に発表したデータです、現在ではさらに手術時間が短くなり6~8分程度です。)

手術費用について

当院での多汗症手術費用は健康保険適応で3割負担の場合、約8~9万円です。クレジットカードでのお支払いも可能です。
高額医療で返金されることもあります。また、生命保険の手術給付金の対象になっています。
※片手も両手も同額です。当院では原則として両手同時に手術していますが、片側手術では代償性発汗も半分で済むため,まずは慎重に片手だけ手術する選択もあります。

クリップ法について

クリップ法でも神経に不可逆的なダメージが起こりえますので、残念ながらクリップを除去すれば必ず元の状態に戻るとは限りません。
これまでクリップを除去した海外でのデータでは約7割弱の患者様で神経が回復していますが、逆に言えば約3割強の患者様では神経は回復しておりません。特にクリップ法術後から時間が経つほど回復率は減少します。
またクリップ法は手術の際に出血などのリスクがあり、電気メスによる完全遮断に比べて再発のリスク高くなることが危惧されるため、開院当初はクリップ法を推奨していましたが、現在はTh3遮断の追加手術でも電気メスによる完全遮断を行っております。

低位交感神経遮断(Th4遮断)の有効性は国際学会でも発表されています

おだ院長は、2年毎に開かれる多汗症の国際学会で6回連続して論文を発表しています。
このような国際学会発表など長年の経験から得た多汗症に関する知識と多くの手術症例を今後の多汗症診療に生かしていきます。

第10回国際交感神経外科シンポジウムの詳細
第9回国際交感神経外科シンポジウムの詳細
第8回国際交感神経外科シンポジウムの詳細
第7回国際交感神経外科シンポジウムの詳細

 
 

手術以外の多汗症治療法

1.プロ・バンサイン内服薬:手汗が出始める前の朝起床時に1~2錠内服すると発汗を抑えることができます。副作用はのどが渇くことですが、水分を補給すると汗が増加しますのでこれを我慢する必要があります。処方箋が必要ですので、当院でも処方いたします。

2.アルミニウム・ローション:市販されている制汗ローションは濃度が低く制汗作用が弱いため、当ビル1階のドレミ薬局にお願いして20%アルミニウムローションを取り扱っています。処方箋は不要です。お求めおよび詳しい使用方法はドレミ薬局(下記)にお問い合わせ下さい。

Q&A

Q1.多汗症手術は保険が効きますか?

A1.当院での多汗症手術の費用はすべて保険適応で3割負担の場合、約8~9万円です。片手も両手も同額です。両側手術と片側手術にはそれぞれ長所と短所があるため、当院では原則として両側の同時手術行うか片側だけの手術を行うかは患者様に選択していただいています。クレジットカードも使用可能です。生命保険の手術給付金の対象です(胸腔鏡下交感神経節切除術)。

Q2.わきの汗が一番気になるのですが・・・

A2.わきの汗はおもに第4~第5胸部交感神経で支配されます。最近の知見では、わきの汗の交感神経は細かい枝分かれ(バイパス)が豊富なため、交感神経を完全に切除することがポイントです。
わきはもともとジメジメした部分ですので、完全には汗が停止しないこともあり、少しは汗が残ることがあります。数年後の再発率も手に比べ高くなります。第4~第5の低位の胸部交感神経ですので、代償性発汗は少ないものの、必ず代償性発汗が出現します。
したがって、わきの汗が一番気になり、てのひらの多汗がない方は、交感神経切除術よりも美容整形外科が行うわきの汗腺切除術(永久脱毛やワキガ手術と同様の手術)をお勧めします。わき汗だけの場合は交感神経遮断の適応にはなりません。

Q3.てのひらの多汗症手術で足の裏の汗も停止しますか?

A3.足の裏の汗は腰部交感神経支配ですが、胸部交感神経遮断でもほぼサラサラになる患者様が1割程度、少し減少する患者様が3~4割程度です。
しかし逆に言えば半数以上の患者様で足の裏の汗にはまったく効果がありません。また胸部交感神経遮断後にむしろ足の裏の汗が増加した患者様も7%いらっしゃいました。足の裏の汗が気になる場合は、開腹もしくは腹腔鏡を用いた腰部交感神経遮断やアルコール注入による腰部交感神経神経ブロックなどの手段がありますが、日本ではほとんど実施されていません。足の汗は塩化アルミニウムローションや汗の吸収性のよい靴下を履くなどなどで対応するしかないと思います。

Q4. 人前で頭・顔面から汗がふき出て困っています。

A4. 頭・顔面の汗は第2胸部交感神経で支配されます。高位の交感神経遮断でも顔の汗に対する効果は8割程度で、さらに術後の過剰な代償性発汗は必ず出現するため、手術を後悔される方の頻度が高くなります。
したがって頭・顔面多汗に関しては、仕事上きわめてお困りの方のみに限定して手術を行うべきです。当院では原則として手術は選択せずにまずはプロバンサインなどの内服薬をお勧めしています。それでも手術を希望される患者様には第2と第3の間をクリップで遮断する手術を行っていました。
これまでに当院で顔面多汗症または赤面症でクリップ法による高位の交感神経遮断を行った患者様は約30人でそのうち3人の患者様は過剰な代償性発汗で手術を後悔し最終的にクリップを除去しました(クリップを除去しても遮断前の状態まで完全に戻るわけではなく、クリップ除去には癒着や出血などで手術が困難となることもあります)。さらにクリップ法は出血のリスクがあるため、現在は当院ではクリップ法は行っていません。
当院の治療方針としましては、顔面多汗症、赤面症の患者様には交感神経遮断手術はお勧めしておりません。

Q5. 片側だけの交感神経遮断も可能ですか?

A5. 片側だけの交感神経遮断では当然のことながら、片側しかてのひらの汗が停止しませんが、代償性発汗の量は半分で済むため、まずは片方だけ手術を受けてみるという慎重な考え方があります。手術時間は片側5分、両側10分でいずれも短時間です。片側でも両側でも手術費用は同じですので、片側ずつ2回手術をお受けになる場合は患者様が負担する費用と日数が2倍になります。両側手術と片側手術にはそれぞれ長所と短所があるため、当院では原則として両側の同時手術行うか片側だけの手術を行うかは患者様に選択していただいています。

Q6. 赤面症にも効果がありますか?

A6. 顔面多汗症や赤面症の患者様では高位の第2交感神経を遮断する必要がありますが、赤面症に対する交感神経遮断術の効果は客観的な評価が難しく、有効率は確定しておりません。また、高位の交感神経を遮断すると過剰な代償性発汗が100%出現します。当院の治療方針としましては、顔面多汗症、赤面症の患者様にはこの手術はお勧めしておりません。

Q7. 低位(Th4)交感神経遮断術では代償性発汗はまったくありませんか?

A7. 低位(Th4)交感神経遮断でも、夏の暑いときや寝汗で背中や胸、ふとももなどからの汗がこれまで以上に必ず増加します。しかし一般的に誰でもマラソンをしたり暑いときは顔などから多量の発汗があります。したがって低位交感神経遮断を受けた患者様に夏の暑いときなどに体の一部から汗がでるのは正常な反応であり、これらの汗は代償性発汗というよりも反応性発汗という言葉が用いられます。代償性発汗は高位の交感神経遮断ほど多量に発生し(Th2>>Th3>Th4)、複数の交感神経節を遮断するほど増加します。
したがってTh4単独遮断が最も代償性発汗が少なくなります。これまで当院で行ったTh4遮断2600例の患者様では、ほとんどの患者様が夏の暑いとき以外では背中やふとももの汗はほとんど気にならない程度の発汗量で手術結果にとても満足されています。国際学会においてもTh4遮断では高度の代償性発汗はほとんどおこらないことが証明されています。
発汗の量は個人の感じ方で差があるため、代償性発汗にも個人差があります。これまでに私が知りうる限りで5~6人(全体の約0. 3%)の患者様が、Th4遮断でも自分が予想していた以上に代償性発汗が多かったとの理由で手術を後悔した患者様がおられます。多汗症手術には代償性発汗というデメリットが100%ありますので、手術の選択はいかに手の汗で長年悩んでおられるかです。

Q8. 代償性発汗以外の副作用はありますか?

A8. Th1神経節(星状神経節)を遮断するとホルネル症候群(おもな症状は眼瞼下垂:まぶたが下がってしまう状態)がおこりますが、Th2遮断やTh3遮断でもまれにホルネル症候群の合併症が報告されています。永久的な合併症ですので絶対に避けなければなりませんが、Th4神経節は星状神経から離れているため、私が知る限りTh4遮断ではホルネル症候群の合併報告はありません(詳しくは2007年国際学会のページ)。交感神経遮断で徐脈になることがまれに報告されていますが、私がこの手術を始めた初期の200例の患者様に手術前、手術後に心電図検査をおこなったところ、どなたも心電図上の変化はありませんでした。しかし徐脈になる心疾患(洞不全症候群など)を合併している患者様では交感神遮断手術は避けるべきと考えます。交感神経遮断には代償性発汗など患者様のデメリットになる要素がありますので、患者様に手術前に十分なインフォームドコンセントを行い、治療方針を決定させていただいています。

Q9. 手のひらの汗の再発はありますか?

A9. これまでにTh2遮断やTh3遮断手術後に神経が再生し再発することが1~5%と報告されており、これまでの私自身の経験での再発率は1~2%ほどでした。Th2遮断やTh3遮断とTh4遮断では再発率に差はなく、当院の7年間のデータ(2600例)ではTh4遮断後に再発または手の汗が少しでるために、1年~数年後に再手術をお受けになった患者様は34名(全体の1. 4%)です。

Q10. 再発した際にはどのような再手術を行います?

A10. Th4遮断では手のひらの汗が停止するギリギリの高さですのでTh2遮断やTh3遮断よりも再発率が高くなることが危惧されますが、これまでの当院の経験では再発率は1. 1%であり、高位神経遮断の再発率と差はありません。Th4遮断後に再発した場合は再手術でTh3を追加遮断します。再手術により手のひらの汗は再度減少します。再手術でTh3を追加遮断すると代償性発汗も増加しますが、Th4遮断で再発した患者様は手の汗が停止する高さがTh4よりも少し高位にあると考えられ、その場合はTh3遮断を追加しても顔の汗はきちんと出ることにより代償性発汗の増加は抑えられることになります。逆に他院でTh2もしくはTh3遮断を受けて再発した患者様には当院での再手術でTh4を追加遮断しています。

Q11. 高位の交感神経遮断ではどうして代償性発汗が増加するのですか?

A11. 代償性発汗の詳しいメカニズムは解明されていませんが、視床下部という脳の一部からフィードバック現象で代償性発汗が起こるといわれています。人間のからだは頭(脳)を第一に守るよう制御されています。マラソンなど激しい運動したときや夏の暑いときにまず最初に顔や頭から汗がでるのは、頭に熱がこもらないようにコントロールされているためです。高位の交感神経とくに第2交感神経を遮断すると頭や顔から汗がまったくでなくなりますので、熱から脳を守るため視床下部からもっと汗を出すように命令がでます(フィードバック現象)。
ところがいくら命令がでても顔や頭からは汗がでませんので、少しでも熱を発散するために背中や胸、ふとももなどから汗がでるようになります。しかし頭は熱がこもったままですので、もっと汗をだすように視床下部から命令が出続ける結果、背中などに過剰な代償性発汗が生じることになります。以上のように頭から汗をだすことはからだのバランスを保つ上で極めて重要なことです。第4交感神経遮断では顔や頭の汗が減少することはほとんどありませんので、過剰な代償性発汗がでることはありません。しかし第4交感神経遮断でも代償性発汗は100%の患者様に出現しますので、この手術をお受けになるかどうかは、いかに手のひらの汗で悩んでおられるかです。

Q12. 小学生の子供が手掌多汗症なのですが・・・

A12. お子様の手術は原則として大人の体になってから、具体的には中学生以上でお勧めしています。しかし小学生でも本人が非常に気にしていたり、友達から手をつなぎたくないと言われいじめの対象になっている場合などは手術を行っています。当院ではこれまでに8歳から78歳の患者様に多汗症手術を行っています。お子様が小さい間は、このままご両親で見守っていて差し上げるのが一番だと思います。

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