足の付け根から恥骨にかけて左右の下腹部を鼠径部といいます。
人間は2本足で立っていますので、下腹部に腹圧がかかり、腹壁の筋膜がさけて穴があき、内臓の一部が皮下に飛び出す病気が鼠径ヘルニア、いわゆる脱腸です。
鼠径部が膨らんだり、つっぱったような痛みを伴います。
皮下に飛び出した腸が戻らなくなり、固く腫れ上がって血行障害を起こす状態を絞扼性ヘルニアといい、緊急手術になることもあります。
しかし絞扼性ヘルニアの頻度は一般的には1万分の1程度とされごくまれです。
筋膜は筋肉とは違いますので、腹筋を鍛えても鼠径ヘルニアは治りません。
洋服のほころびと同じで穴も出方も少しずつ大きくなりますので、最終的には手術が必要です。
鼠径ヘルニアは超音波検査により、穴の場所と大きさ、飛び出している内臓の状態を簡単に診断することができます。
鼠径ヘルニアの年齢のピークは2つあり、一つは乳幼児、もうひとつは中年以降です。
鼠径ヘルニアの症状が疑われたら、まずは専門医を受診することをお勧めします。