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2017.12.20

鼠径ヘルニアの嵌頓・絞扼の痛みや手術方法は?小児の場合は?

嵌頓とは?状態や症状について

小腸や大腸などの内臓は、腹膜という薄い膜に覆われてお腹の中にあります。しかし足の付け根である鼠経(そけい)部の筋膜の隙間から腹膜に包まれた腸が皮下に突き出てしまう病気を脱腸、正式な病名では鼠経ヘルニアと呼びます。お腹や足の付け根の皮膚表面には膨らみとして認められ、手で静かに押し込めたり、横に寝るとお腹のなかに腸が戻っていきます。しかしはみ出た腸が出たままになり腫れあがってお腹のなかに戻らなくなる状態を「嵌頓」、さらに血行が悪くなり腸が壊死する状態を「絞扼」と言います。
鼠経ヘルニアにも外鼠経ヘルニア、内鼠経ヘルニア、大腿ヘルニアと種類がありますが、外鼠経ヘルニアややせた女性に多い大腿ヘルニアでは嵌頓ヘルニア、絞扼ヘルニアを起こすことがあります。
嵌頓を起こすと、柔らかかった膨らみも硬くなったり、皮膚の色が変色したり、痛みなども伴います。嵌頓は慢性的な症状ではなく、絞扼まで進行すると緊急な対処を必要とする症状となります。

治療方法は?

嵌頓を起こしていない鼠経ヘルニアの手術であれば、鼠径部を切開するか、または腹腔鏡を使用して行うことになりますが、いずれも脱出した腸を元に戻し、メッシュで補強する方法がとられます。
しかし嵌頓ヘルニアになってしまった場合には、腸閉塞と同様の手術が適応されることになります。絞扼して脱出した腸が壊死している場合は、腹膜炎となり命の危険にもつながりますので、簡素な手術では適応できなくなります。
腸の壊死を引き起こしてしまうと、腸を切断しごくまれに人工肛門を作らなければならない可能性もあります。

小児の場合は?

通常は胎児のときに、開いている腹膜も自然に閉じられていくものなのですが、何らかの原因でヘルニアを持ったまま産まれるケースがあります。これが小児鼠経ヘルニアにあたります。小児のほとんどは1歳前後までには自然治癒するため、大泣きで腹圧をかけないようにしたり、便秘を避けたりしながら経過観察となりますが、嵌頓ヘルニアを起こしてしまうと緊急に医師の診察、もしくは緊急手術となります。
通常の鼠経ヘルニアは鼠径部の柔らかい膨らみが特徴的ですが、嵌頓ヘルニアを起こすと泣き方が激しくなったり、飛び出した膨らみ部分が硬くなり血色が悪くなったりしながら、押しても元に戻らなくなります。

放置するとどうなるか?

鼠経ヘルニアは、痛みがなければそのまま様子を見ることはできますが、嵌頓ヘルニアから絞扼ヘルニアを起こしてしまうと放置することはできません。腸閉塞状態となり、脱出した部分には血液も通わなくなるため、壊死と言って腸の組織が死んでしまうことになります。壊死した部分から全身の血液に菌が侵入し、敗血症から命に危険が及ぶこともあります。
したがって嵌頓ヘルニアさらに絞扼ヘルニアの放置は絶対に避けなければなりません。

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