おだクリニック日帰り手術外科

代償性発汗について

 代償性発汗は,多汗症手術で胸部交感神経を遮断すると,ほぼ100%に起こる現象です.

 汗には緊張したときにでる汗(緊張性発汗)と暑いときにでる汗(温熱性発汗)に分けられます.多汗症によるてのひらの過剰発汗は緊張性発汗ですが,術後に発生する代償性発汗はおもに温熱性発汗です.

 代償性発汗は,たとえば,夏の暑い炎天下や満員電車のなかで,背中や腰,ふとももなどに汗がでる現象です.その発汗量には個人差がありますが,第2胸部交感神経など高位の神経遮断ほど多くでるとされています.

 暑いときや運動の後には,温熱性発汗として顔面や額から汗がでます.一方,多汗症の術後では,とくに高位の神経遮断ほど,顔面や額の汗がでにくくなります.そのため,からだの熱を発散させ恒常性を保つために,別の部位(背中や腰など)から発汗させる必要があるのです.つまり,代償性発汗は,暑いときや運動の後にからだの熱を発散させるための反応性の発汗と理解されます.

 多汗症術後の満足度調査アンケートでは,てのひらの汗が減った分だけ,背中や腰に汗が多少増えても気にならないという方が大多数です.

 しかし,代償性発汗が過剰に出現し,多汗症手術を受けたことを後悔する方もいらっしゃいます.たとえば夏の暑い満員バスの中で背中から過剰な代償性発汗が出て白いブラウスが汗でびっしょりになったり,冬でも暖房の効いた部屋に入ったとたんに背中や胸から過剰な汗がでてシャツを何枚も交換しなければならなかったなど,日常生活に支障が生じる場合があります.
 
 術後の患者満足度は,永久的にてのひらの過剰発汗が停止した喜びと,代償性発汗の悩みの程度により決まります.さらに自律神経など精神的な要因も付加されます.


多汗症術後の患者満足度


そこで,当院では代償性発汗を最小限にし,患者様の術後満足度をより高いものにする,低位交感神経遮断術を提唱しています.

 代償性発汗の詳しいメカニズムは解明されていませんが,視床下部という脳の一部からフィードバック現象で代償性発汗が起こるといわれています.人間のからだは頭(脳)を第一に守るよう制御されています.マラソンなど激しい運動したときや夏の暑いときにまず最初に顔や頭から汗がでるのは,頭に熱がこもらないようにコントロールされているためです.高位の交感神経とくに第2交感神経を遮断すると頭や顔から汗がまったくでなくなりますので,熱から脳を守るため視床下部からもっと汗を出すように命令がでます(フィードバック現象).ところがいくら命令がでても顔や頭からは汗がでませんので,少しでも熱を発散するために背中や胸,ふとももなどから汗がでるようになります.しかし頭は熱がこもったままですので,もっと汗をだすように視床下部から命令が出続ける結果,背中などに過剰な代償性発汗が生じることになります.以上のように頭から汗をだすことはからだのバランスを保つ上で極めて重要なことです.第4交感神経遮断では顔や頭の汗が減少することはほとんどありませんので,過剰な代償性発汗がでることはありません.

代償性発汗を考慮した当院での多汗症手術について

*過去に他院で多汗症手術をうけ,代償性発汗に悩んでいる方はコチラ
リバーサル手術について



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