2017.12.26更新

今回は鼠径ヘルニアに似た症状がみられるヌック管水腫という病気について紹介したいと思います。

 

ヌック管水腫とはどんな病気?症状は?

笑ったり、何かしら力を入れた時にはお腹に力を入れることになるため、皮膚が張りお腹の形が見えやすくなりますね。足の付け根を鼠径部といいますが、そういった腹圧がかかった場合に、鼠径部の表面が一部の膨らみが生じたり、または常時膨らみが維持されることで異変を感じます。このしこりが主な症状となります。
ヌック管水腫(またはヌック水腫)とは女児に多く見られますが、成人の女性でも発症します。
お母さんのお腹で成長する際に、通常ならば自然に引っ込んでしまう腹膜鞘状突起という部分が鼠径部に飛び出したまま誕生します。飛び出した腹膜鞘状突起は袋状のもであって、そこには腹膜の中を流れる腹水が流出して、たまってしまうと男児及び男性では陰嚢水腫や精索水腫などと呼ばれますが、女児の鼠径部に生じたものは「ヌック管水腫」と呼ばれます。
2歳未満の乳児の場合には、自然治癒する可能性があるため経過観察されることが多いのですが、治癒することなく成人になると、合併症を起こした状態で治療をはじめられるケースもあります。とくに成人女性ではヌック管水腫に子宮内膜症が合併し、生理周期に伴い痛みやしこりが大きくなったりすることがあります。

 

ヌック管水腫と鼠径ヘルニアとの関係

ヌック管水腫はしこりだけを残したり、または時間によって大きさが変わるなどの変化がありながらも痛みや痒みなどの自覚症状はないというケースが多いです。しかし子宮内膜症を合併する場合は生理痛とともに鼠径部痛が生じます。
腹膜は内臓を覆っている袋となりますが、神経や靭帯などが通っている部分の隙間を利用して腹膜の一部が突出し、袋状となって存在しますが、ヌック管水腫の場合は液体であるのに対しヘルニアは腸の一部が、その袋に貯留します。
成人になってからの自覚症状としても鼠径部の膨らみや、その膨らみの増大などとなるため、鼠経ヘルニアとヌック管水腫の区別はつきにくいものです。
超音波検査やCT検査が有用であり診断手段となりますが、ヌック管水腫と診断されても実際には、水腫のみではなく、ヘルニアが嚢腫化し併存していたため誤診となったという場合もあります。

 

ヌック管水腫と診断された場合は?

乳児期にヌック管水腫、あるいは腹膜鞘状突起の閉鎖不全などと診断された場合には、1~2歳くらいまでは自然閉鎖の可能性が高いので、定期的な外来受診においての経過観察となります。しかしそれ以降、稀ではありますが、痛みも併発する鼠経ヘルニアの合併や、ヌック管水腫の下部にヘルニアが隠れていた、または炎症が起きている、子宮内膜症や腫瘍などが隠れているなどの可能性が秘められますので、多くは手術適応となります。
手術方式は鼠経ヘルニアと同様で、鼠経部を切開して行う方法と腹腔鏡を使用する方法がありますが、ヌック管水腫の場合は恥骨の横まで広がるヌック管水腫をすべて取り除く必要がありますので、通常は鼠径部を切開する手術方法が一般的です。

 

投稿者: おだクリニック日帰り手術外科

2017.12.20更新

嵌頓とは?状態や症状について

小腸や大腸などの内臓は、腹膜という薄い膜に覆われてお腹の中にあります。しかし足の付け根である鼠経(そけい)部の筋膜の隙間から腹膜に包まれた腸が皮下に突き出てしまう病気を脱腸、正式な病名では鼠経ヘルニアと呼びます。お腹や足の付け根の皮膚表面には膨らみとして認められ、手で静かに押し込めたり、横に寝るとお腹のなかに腸が戻っていきます。しかしはみ出た腸が出たままになり腫れあがってお腹のなかに戻らなくなる状態を「嵌頓」、さらに血行が悪くなり腸が壊死する状態を「絞扼」と言います。
鼠経ヘルニアにも外鼠経ヘルニア、内鼠経ヘルニア、大腿ヘルニアと種類がありますが、外鼠経ヘルニアややせた女性に多い大腿ヘルニアでは嵌頓ヘルニア、絞扼ヘルニアを起こすことがあります。
嵌頓を起こすと、柔らかかった膨らみも硬くなったり、皮膚の色が変色したり、痛みなども伴います。嵌頓は慢性的な症状ではなく、絞扼まで進行すると緊急な対処を必要とする症状となります。

 

治療方法は?

嵌頓を起こしていない鼠経ヘルニアの手術であれば、鼠径部を切開するか、または腹腔鏡を使用して行うことになりますが、いずれも脱出した腸を元に戻し、メッシュで補強する方法がとられます。
しかし嵌頓ヘルニアになってしまった場合には、腸閉塞と同様の手術が適応されることになります。絞扼して脱出した腸が壊死している場合は、腹膜炎となり命の危険にもつながりますので、簡素な手術では適応できなくなります。
腸の壊死を引き起こしてしまうと、腸を切断しごくまれに人工肛門を作らなければならない可能性もあります。

 

小児の場合は?

通常は胎児のときに、開いている腹膜も自然に閉じられていくものなのですが、何らかの原因でヘルニアを持ったまま産まれるケースがあります。これが小児鼠経ヘルニアにあたります。小児のほとんどは1歳前後までには自然治癒するため、大泣きで腹圧をかけないようにしたり、便秘を避けたりしながら経過観察となりますが、嵌頓ヘルニアを起こしてしまうと緊急に医師の診察、もしくは緊急手術となります。
通常の鼠経ヘルニアは鼠径部の柔らかい膨らみが特徴的ですが、嵌頓ヘルニアを起こすと泣き方が激しくなったり、飛び出した膨らみ部分が硬くなり血色が悪くなったりしながら、押しても元に戻らなくなります。

 

放置するとどうなるか?

鼠経ヘルニアは、痛みがなければそのまま様子を見ることはできますが、嵌頓ヘルニアから絞扼ヘルニアを起こしてしまうと放置することはできません。腸閉塞状態となり、脱出した部分には血液も通わなくなるため、壊死と言って腸の組織が死んでしまうことになります。壊死した部分から全身の血液に菌が侵入し、敗血症から命に危険が及ぶこともあります。
したがって嵌頓ヘルニアさらに絞扼ヘルニアの放置は絶対に避けなければなりません。

 

投稿者: おだクリニック日帰り手術外科

  • まずはご相談を
  • 日帰り手術とはどんなもの?
  • 日帰り手術の流れについて
  • 日帰り手術のよくある質問
  • アクセス情報
  • 診療カレンダー
  • 手掌多汗症 日帰り手術専門サイト
  • 下肢静脈瘤 日帰り手術専門サイト
  • 院長ブログ