2017.11.23更新

鼠径ヘルニアはなんとなくとも知られている病気ですが、「水瘤」という病気は聞きなれず症状や治療法などといったことは知らない方の方が多いのではないでしょうか。
鼠径部の変化である病態、二つの病気の違いなどを見ながら、水瘤についてご紹介したいと思います。

 

水瘤とはどんな病気?

腸をはじめとした内臓は腹膜に包まれている状態で位置します。足の付け根には靭帯や筋肉が通っている部分があり隙間になりやすく、そこから腹膜が飛び出てしまうことがあります。この飛び出た腹膜(腹膜鞘状突起)に腹部を流れている体液が流れ出てたまったものを水瘤といいます。
水瘤は主に小児に多く見られ、先天性のものが多く、大人にも生じる場合がありますが、その場合には原因はわかっていないと言われています。
以前にはよく使われていた病名の陰嚢水瘤(いんのうすいりゅう)や精索水瘤(せいさくすいりゅう)と言われていたものを水瘤というようになっています。
流れ出た体液が貯留している袋が睾丸部であれば陰嚢水瘤、睾丸まで達していなければ精索水瘤となります。

 

水瘤の種類

腹膜と水瘤のある部分のつながりがあるかどうかで種類分けされます。
つながりのあるのは交通性の水瘤、つながりのないものは非交通性の水瘤と言われます。
小児の非交通性の水瘤は1歳になる前までには自然治癒の可能性が高く、たいていは様子を見ることが多いのですが、交通性の水瘤の場合は精巣機能の低下や精巣捻転が生じるリスクとなるので手術が適応されることが多いとされます。

 

水瘤の症状は?

患者様本人には痒みや痛みといった自覚症状はないと言われます。水瘤部分を外側からペンライトや懐中電灯などでひかりを当ててみると、透き通って見える。また触感としても弾力感があることが一般的な症状といわれます。
交通性の水瘤であれば、水のたまり具合も朝には少なかったのに、夕方には多くなってるなどの変化が見られたり、徐々に大きくなってくると歩行時に違和感を覚えることもあるケースがあります。

 

一般的な鼠径ヘルニアと水瘤の違い

鼠経ヘルニアと呼ばれるものも、水瘤も同じく腹膜が鼠経部のヘルニア門から外側へ出てしまうものですが、鼠経ヘルニアでは脱出した袋の中には腸など内臓の一部が含まれているのに対し、水瘤では単純に体液だけとなります。
鼠経ヘルニアではヘルニア門部分で、圧迫が原因となって血液循環が悪化し、腸が壊死を起こす危険性がともなってきたり、症状も痛みを有します。飛び出した腸などは一時的にでも元に戻すように押し込むことができる場合があります。水瘤では全く反対で、痛みもなく、押し込むという動作の還納が不可能となっています。
比較するならば、鼠経ヘルニアの方が緊急を要する病気となるケースが多いことになるでしょう。

 

水瘤の治療方法

以前は水瘤部分に直接針を刺して貯留したものの性状を確認し鼠経ヘルニアとの判別をしたり、たまった水を針で吸引するといった治療がありましたが、現在では超音波検査によって、診断が可能になりました。新生児の水瘤であれば1歳までは自然吸収の有無の可能性を優先し、様子を観察していきますが、それ以外では手術を用います。
交通性の水瘤では、鼠径部を切開し、水の貯留している鞘状突起を切断し陰嚢部への水の流出を防ぐ方法。非交通性の水瘤に対しては、陰嚢部を切開し、拡張している鞘膜の切除を行い再度貯留しないように縫合で対処するといったようなことが一般的な手術内容となっています。

投稿者: おだクリニック日帰り手術外科

2017.11.13更新

今回は鼠径ヘルニアの手術後にできることがある血腫について紹介します。血腫ななぜできるのでしょうか?また、できた場合の対処方法など書いていきたいと思います。

 

■鼠径ヘルニア手術後に血腫ができる理由

血種とは出血した部分が固まって固体となったものをいいます。
手術ではヘルニア部分の皮膚を切ることになりますので、皮下の血管を電気メスまたは溶ける糸で結紮して切離します。血液成分には出血を止めるために凝固作用があるため、手術後は自然に止血されます。しかしなかなか止血されない場合には傷を塞いだ後も血種となって腫れが大きくなってしまう場合があります。血液をサラサラにする薬(抗凝固剤や抗血小板剤など)を服用している場合や、再生不良性貧血、白血病、クッシング症候群などの血液の病気などが血種を助長することがあります。

 

■血腫ができた際の対応方法

手術翌日あたりからそれまでなかった皮下出血が見られ、皮膚が暗赤色になることがありますが、皮下出血はたいてい、自然に吸収されるのでそのまま様子を見ておくことが一般的な方法と言われます。
血種が大きくなったり、痛みが激しくなったりと症状が著しくなった場合には、再度患部を開き、止血することもあります。

 

■その他の合併症

血腫以外に合併症と考えられる症状は以下があげられます。

 

・漿液腫seroma(しょうえきしゅ:セローマ)
ヘルニアとなっている部分の隙間を閉じる手術ですが、なかには多少の空間がのこってしまう場合があります。その部分に漿液性体液(リンパ液)がたまり膨らんでしまう状態のものです。
自然な吸収で消失することが多いのですが、大きな漿液腫ではまれに穿刺により漿液を吸引することもあります。

 

・感染
鼠経ヘルニアの手術では感染するケースはまれですが、手術ということで滅菌された器械や操作方法で行いますが、殺菌は無数なことにもより100%の無菌とはなりません。
細菌が創部で増殖する感染症や、人工補強材に細菌感染する場合などがあります。創部の軽度な感染症では抗菌剤や洗浄などの対処法で治癒することもありますが、感染が進行したり、人工補強材の感染症となれば再手術が必要となることもあります。

 

・疼痛
手術直後から数日の疼痛はやむを得ないものですが、鎮痛剤なども質が高くなり種類も増えてきたため、軽減しやすいと思われます。しかし鼠径部にはいくつもの神経が存在しているため、慢性的な疼痛を訴えるケースもあるようです。
鎮痛剤の使用から、効果がない場合には神経ブロック注射などの方法も行われるといわれます。

 

・再発
鼠経ヘルニアの再発率は専門医が手術を行えば0.5~1%以下です。原因というと、年齢や性別、ヘルニアの病態、生活環境などにおいて違いが生じますので一概に特定はできないのが現状です。再発した場合は初回の手術より手術が難しいため、患者様の状況において二度目の手術が適応かどうかの検討は専門医に相談し慎重に行っていく必要があります。
治療は患者様と医師との信頼関係を持って行っていくことが大切です。

 

投稿者: おだクリニック日帰り手術外科

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